およそ70年ぶりに復活した野菜「播州白水菜」。
多可町の農家・竹本千代さんが保存していた種を、農業研究機関の「農研機構」が発芽させた希少種です。
2023年2月11日、播州白水菜の試食見学会が開催され、集まった約30名の参加者が、播州白水菜が育つ畑を見たり、料理を食べたりしました。
会場:アスパル
主催:播州白水菜保存会
チヨちゃんの野菜と播州白水菜
播州白水菜の種を保存していた、竹本千代さんの娘夫婦(岡野圭佑さん・美代子さん)は、有機JAS認定農家「チヨちゃんの野菜」(多可町)。
農薬は一切使わない栽培方法で、昨年は収穫した白菜が日本一の栄誉に輝きました。
栽培する野菜のほとんどが自家採種された種から育ち、現在、78種を数えるそうです。
圭佑さんはかつて、千代さんから播州白水菜の栽培を頼まれました。
ところが、無念。発芽しなかったそうです。
数年後、農研機構と農林水産省の職員が、とある視察を企画。
事情があって日程が伸びたことから、チヨちゃんの野菜の畑まで足を運ぶことになりました。
そこで、圭佑さんが視察チームに播州白水菜と種のことを伝え、復活劇の狼煙が上がったそうです。
研究者が「奇跡」と言った
Aさん(農研機構)たちの視察ツアー、「事情があって日程が伸びた」ことが、もう偶然。
ただ、Aさんによると、播州白水菜の復活には下記の幸運も重なったのだとか。
・千代さんが播州白水菜の種を残していた
・種の保存状態がよかった(瓶詰め)
・いちど栽培を試み、失敗したのに種を捨てなかった
・農水省のKさんがチヨちゃんの野菜のご夫婦と面識があり、農研機構もつながれた
Aさんは、こうした巡り合わせを「奇跡」と形容。
徹底した観察とデータで論文を書く専門家が、抽象性の極みのような単語を口にしたことからも、70年ぶりの復活がいかに希少で、起こり難いことだったかが伺えます。
プレスリリース
(農研機構:研究成果) 兵庫県の風土に適した 在来品種「播州白水菜」の復活に成功
播州白水菜の試食会
播州白水菜の献立は
・浅漬
・昆布との炒めもの
・揚げ出し豆腐との炊きもの
・おつゆ(お餅入り)
・白ごはん(多可町産)
会場には、食べ比べ用の青水菜と白水菜がありました。
どちらも、スーパーで買う水菜とまったく異なり、味が濃く、シャキシャキ。
「水菜って味がするんですね……」と驚く方もいました。
さらに、播州白水菜は茎が太くってやわらかく、甘い。
こんなに美味しい野菜が滅ぶことなく、蘇った ―― 喜びを心と身体で感じられる、試食見学会でした。
基本情報
有機JAS認定農家 チヨちゃんの野菜
生産者:岡野圭佑・美代子
Tel/FAX.078-785-3627
E-mail:chiyochannoyasai@gmail.com
兵庫県多可郡多可町中区高岸424
HP:http://www.chiyochannoyasai.com/
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