加美生まれ、加美育ちの「播州地卵」を次世代に! 0から教わる生産のイロハ ~加美鳥p.1

多可町加美区の銘柄鶏、播州百日どり。その飼育をされるのが株式会社加美鳥(かみちょう)(以下、加美鳥)の代表・石塚竜司さんです。

石塚さんは2021年に多可町の特産品・播州地卵の事業を継承。平飼いし、抜群の健康状態で育てる鶏の卵は卵白が甘く、卵黄が濃厚です。また、滋養・風味に富み、全国区の菓子店も材料に選ぶほど。

今回、そんな「播州地卵」の歴史や特長、育成方法、食べているものなど、じっくり伺いました。

この記事を読んだ夜は、播州地卵のゆで卵で乾杯したくなるかも?!

●加美鳥・石塚竜司さんインタビュー1

教えて、石塚さん! 
「播州地卵のこと」


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質問!

Q:播州地卵の特長を教えてください

Q:播州地卵は何年の歴史がありますか?

Q:石塚さんはなぜ、播州地卵を生産しようと思われましたか?

Q:播州地卵を産む鶏について教えてください

Q:平飼いの特長を教えてください

Q:鶏は何を食べていますか?

Q:播州地卵を使った料理が食べられるお店など、教えてください

Q:自宅でできる播州地卵の美味しい食べ方を教えてください

Q:播州地卵の特長を教えてください

A:卵白が甘く、臭みがなく、卵黄が濃いこと。滋養や風味も豊かです。

こういった特長を気に入ってくださる常連のお客様が多く、有名菓子店もスイーツに使ってくれています。

「黄身だけを取りやすくしたい」というリクエストをいただいたので、黄身の膜を厚くできないか試行錯誤しています。

この機械は採れたて卵を洗う前、レーンに均等に置くためのもの。吸着力抜群だが、ワンタッチですべての吸盤が外れる。

Q:播州地卵は何年の歴史がありますか?

A:2021年、40周年を迎えました。

1978年に播州百日どりの飼育が始まり、播州地卵の生産は2年後の1980年から。それぞれ、旧加美町時代に事業が立ち上げられ、40年以上の歴史があります。

Q:石塚さんはなぜ、播州地卵を生産しようと思われましたか?

A:特産品を絶やしたくないんです。

かつて、多可町には農林業公社という団体があり、播州地卵の事業を運営していましたが、3年前に公社の解散と共に播州地卵も消滅する事を知りました。

40年もの間、播州百日どりと共にこの地で愛されてきた特産品を無くしたくは無いし、この地域には卵を贈る文化があり、播州地卵はお使い物の定番商品なんです。

そういう文化も残していきたいですし、単純に播州地卵が美味しいからもっと沢山の方に伝えていきたいです。

Q:播州地卵を産む鶏について教えてください

A:ボリスブラウンです。

卵生産用に飼育される鶏として、一般的な品種です。毛は茶色。弊社は平飼いで飼育しますが、ゲージでも育ちます。

ちなみに、鶏は羽毛と同じ色の卵を産むんですよ。

・生育期間

卵を産ませる鶏の場合、110日までを「雛」といいます。

だいたい、140日くらいになると卵を産み始めるんですが、このときはサイズでいうと「SS」。体と一緒に卵のも大きくなり、サイズや質も安定します。

ボリスブラウンは比較的産卵数が多く、MやLサイズをよく産みます。
だいたい、10か月くらいが産卵のピークですね。

ときどき、強制換羽※について質問されるのですが、弊社は行っていません。

※強制換羽:産卵数が少なくなる時期に餌やりを止め、1ヶ月程度絶食させ、鶏全体の産卵率を向上させる飼育法。絶食中、命を落とす鶏もあるが、ヒナの導入回数が減るなどコスト面のプラスが大きい。略して「きょうかん」。

・飼育数

現在、ボリスブラウンは約6,000羽飼育中で、1日平均で約5400個の卵を生産しています。

このボリスブラウンと播州百日どり、播州赤鶏をあわせ、およそ20,000羽を飼育しています。

Q:平飼いの特長を教えてください

A:「平ら」な場所で「飼」っています。

地面に放した飼育状態は、鶏を生態に沿った環境で育てられるんです。

 ・鶏が習性に沿って動けるので、ストレスなく卵を産める。

 ・卵が産みたくなったら、自ら産卵箱に入って安心して卵を産める。

 ・天気のいい日は日の当たる場所に行って、体を伸ばし日向ぼっこができる。

 ・「砂浴び」※ができる。

※地面を掘って体をこすりつけ、皮膚や羽毛についた汚れや寄生虫を落として体を清潔に保つ習性。

このように鶏が自然に、ストレスなく暮らすことで健康になり、卵の品質や美味しさもアップします。

・平飼いのリスク

ただ、平飼いにはリスクがあるんです。

たとえば、卵が地面に落ちて割れる。自分で踏んだり、ほかの鶏に踏まれて潰れる。
自由に行き来するので、ケガやケンカも避けられません。

鶏の状態、状況をよく観察して、手入れが求められる飼育法です。

加美鳥で播州地卵の生産を担当する竹本さん

Q:鶏は何を食べていますか?

A:有機質の飼料です。


魚の粉やニンニクのパウダー、とうもろこし、かき殻など、自然界にあるものを食べさせています。

それと、竹炭の粉。これも有機質ですが、脱臭効果があります。

黄身の色味とコクを出すのはパプリカの粉、それとマリゴールドですね。

添加物は使いません。

Q:播州地卵を使った料理が食べられるお店など、教えてください

A:ラベンダーパーク多可の「たまごかけご飯」など、北はりまエリアのお店で食べられます。

ラベンダーパーク多可
「たまごかけご飯」(米、生たまご、おかわり自由)

多可町加美区轟799-127

ほかにもよりみち手打ち蕎麦処 龍玄庵dining & cafe BorageCoffee&bar POTそらとぶじゅうたん 、麺屋 志玲など、いくつものお店が播州地卵を使ってくれています。

また、播州百日どりは「TORI MARUCHE」で購入いただけるんです。目利きの野乃鳥さんが選んでくれました。

Q:自宅でできる播州地卵の美味しい食べ方を教えてください

A:私はシンプルに、ゆで卵をたくさん食べます。

毎晩、酒のあてで(笑)
風呂に入るまえ、水の状態から弱火で13分。調理機のスイッチが自動で切れるので、そのままにしておきます。
すこし固めですね。一度に6個くらい食べます。

取材:小迫悠香/黒川直樹 
撮影・ライティング:黒川直樹

基本情報

株式会社加美鳥

〒679-1211
兵庫県多可町加美区寺内87-2
TEL:0795-35-1510
FAX:0795-35-0565
HP:https://kamichou.myshopify.com/
Instagram:kamichou0305

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