乗せ過ぎ注意報、発令中?! 五感を楽しませるNatureの洋菓子p.1

「お客さまに喜んでいただきたくて、果物や飾りを次々に乗せてしまう。クセなんです」と店長の今中雄一郎さん。

そんな今中さんが経営する「山奥の菓子工房 Nature」のショーウィンドウには、五感を楽しませるナチュラルな洋菓子がズラリと並びます。

今回は、県産の小麦や厳選した生クリーム、多可町産の黒にんにくなど、こだわりの原材料をふんだんに使ったお菓子づくりやパティシエとしてのこだわり、多可町で菓子店を営む理由などを中心にインタビュー。

焼きたての生地はこんがり色づき、縁もカリッかり。その真ん中に、泡立つクリームがふんわり、たっぷり乗せられて、甘い香りの山ができます。

目次

1.Natureのお菓子づくり
2.こだわりの食材
3.基本情報

1.Natureのお菓子づくり

「ついつい乗せすぎる」

焼きたての生地はこんがり色づき、縁もカリッかり。その真ん中に、泡立つクリームがふんわり、たっぷり乗せられて、甘い香りの山ができます。

盛りつけられるのはキウイやパイナップル、マスカット、ぶどう、オレンジ、リンゴ、そして朝摘みのイチゴ ―― 色とりどりの果実です。

おとぎ話に出てくる果物のお城を思わせる贅沢なホールケーキを前に、「果物や飾りを次々に乗せてしまう。クセなんです」と微笑むのが今中雄一郎さん。「山奥の菓子工房 Nature(ナチュール)」のオーナーパティシエです。

「お菓子の仕上げが近づくにつれ『まだ乗せられる』、『これも盛りつけられる』ってアイデアが湧いて、お客さまが喜んでくれる顔まで思い浮かぶので……隙間がなくなっても、乗せてしまうことがあって。経営を考えたら、採算のことも考えなくてはならないんですが(笑)」

「その日のおススメを声掛け」

今中さんは理想のお菓子について、こう話します。

「味はもとより、見た目や箱を開けた時の香りなど『五感』を楽しませるお菓子が理想ですね。

どうすれば、お菓子をより良い状態で、お客さまに提供できるかを日々、試行錯誤しています」

「私たち作り手も五感を研ぎ澄ませ、成長する必要があります」と今中さん。

そんな今中さんですが、お菓子がいつも以上に凄く美味しくなったとき、ひそかに感じていることがあるのだとか。

「売りたくなくなります(笑)

というのも、お菓子を完璧に仕上げられることなんて、まぁ無くって。材料ひとつにしても、その日、その日で水分量や温度などが違うので、加減や調整が難しい。すべて手作りですしね」

「たとえば卵。うちは播州地卵を使っていますが、夏場はニワトリが水をたくさん呑むので、卵の水分が多いんです。

それを夏以外と同じ焼き加減で仕上げるとしたら、仕込みや焼き具合、温度管理などを細かに調整をしていかなければなりません。

これは、すべての原材料について言えることです。だからこそ、めっちゃ良いものができたときは、『売るの、もったいないな……』と思います(笑)」

もちろん、抜群に仕上がったお菓子は、すべてショーウィンドウに並べられます。

さらに、今中さん。そういう日は「イチゴがいつも以上に甘くて、ケーキが美味しいですよ」とか、「モンブランのクリーム、しっとり仕上がっています」など、お客さまに声をかけられるんだとか。

お買い物の際、「今日、一番美味しく出来たのはどれですか?」と尋ねたら、詳しく教えてもらえます。

2.Natureこだわりの食材

播州地卵

多可町加美区で生産される特産品の鶏卵です。ニワトリは放し飼いされ、ストレスのすくない環境で生育。卵は風味・滋養ともに豊かになります。卵白は癖がなくスッキリ、卵黄の味は濃厚。Natureはこの播州地卵を年間、約1トン使います。

クリーム

北海道産と九州産を使用。

乳脂肪分が異なるので、お菓子ごとに使い分けます。

砂糖

北海道産の甜菜糖(てんさいとう)を使用します。

ビートや砂糖大根とも呼ばれる甜菜。多量に含まれるオリゴ糖が、腸内の乳酸菌を活性化させます。

小麦

小麦は100%、兵庫県産を使用。キメ細かく、生地にしたときによく膨らみ、口溶けにも定評があります。また、焼き上げたときの色鮮やかさも特長です。

取材:小迫悠香/黒川直樹 
撮影・ライティング:黒川直樹

「山奥の菓子工房 Nature」次の記事を読む! →Natureのお菓子をご紹介! 定番から代表作、変わり種まで

基本情報

2008年、「山奥の菓子工房 Nature(ナチュール)」はオープンしました。
オーナーは多可町出身のパティシエ・今中雄一郎さん。「ちいさな頃から、料理や工作など作ることが好きだった」と話します。

店名の由来は「うちのお菓子が『お客さまのお宅の様子に馴染み、いつでも自然に食べられるように』という願いにあるのだとか。

もちろん、食材もナチュラルな素材ばかり。クリームや砂糖、小麦など今中さんが厳選しています。さらに、お菓子づくりで地域を盛り立てるべく、播州地卵や箸荷紅茶、熟成黒にんにくなど多可町の特産品を積極的に活用。
ショーウィンドウには体によく、美味しい、多可町ならではのお菓子が並んでいます。

そんなNature。今後は古民家を改装したカフェの営業や通販サイトの充実など、挑戦を続けるそうです。


Nature
679-1115
兵庫県多可郡多可町中区天田195-2
営業時間:10時~18時
定休日:不定休(主に月曜日)
電話/FAX:0795-32-3955

HP:https://nature2008.net/
Instagram:okasiya_nature
通販サイト:http://www.takacho-nature.com/

山奥の菓子工房 Natureの記事一覧

p.1:乗せ過ぎ注意報、発令中?! 五感を楽しませるNatureの洋菓子
p.2:Natureのお菓子をご紹介! 定番から代表作、変わり種まで

SHARE