目指すは有機製品100%! 新蔵を建造し、グローバルな市場に船出する
1889年の創業以来、木桶を使った醤油づくりを続ける足立醸造株式会社。現在、全諸味の約80%が「有機(オーガニック)醤油」です。
国内でも数えるほどしかない「木桶で有機醤油を仕込む」醤油蔵は、伝統工法と最新設備を掛け合わせ、厳しい国際基準をクリアした新蔵を建造。お膝元では「蔵祭り」というマルシェも定期開催し、町内外から多くのお客さまを集めています。
インタビューの最後は、そんな蔵祭りやこれからの足立醸造が目指す地平などを中心に伺います!
●足立醸造インタビュー
これからの足立醸造
~蔵祭りも活用。生産者の生活を向上させる企業に~
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目次
代名詞の蔵祭り
忘れられない会話
これからの足立醸造
代名詞の蔵祭り
ところで、「足立醸造といえば蔵祭り!」と思われる方も多いのでは?
抜群の集客力を誇るイベントは、なんと約20年(!)の歴史があるそうです。こうした取り組みは今後も続くのか ―― 足立さんに伺いました。
「続けていきたいですね。お陰様で蔵祭りの認知度があがり、県外からもお客さまが来てくださるようになって。ありがたいことに、出店を希望される店舗さん、キッチンカーの事業者さんからの問い合わせも増えています」
「蔵祭りはもともと、地域の方に楽しんでもらいたくて始めたんです。開催は年に2回ぐらい。それが、常連の方から『もっとしてほしい』とリクエストが届くなど、だんだん回数が増えまして。いまは春、お中元、お歳暮など、趣向を変えたイベントを年に5回、開催しています」
「変わり種としては、『発酵食堂』ですね。
毎年11月、神戸のチーズやワイン、丹波篠山の日本酒など、発酵に関わる商品や事業者さんに集まっていただいてます。
また、お酒やみりん、醤油と業界を違える職人が、醸造をテーマにクロストークをするなど、来ていただくと醸造の理解が深まり、楽しんでもらえるように企画してるんです」
嗜好をこらし、来客者のニーズに応えようとする足立醸造の蔵祭り。ただ、開催には苦労も重なるようで ――
「1度の開催につき、準備は数か月前から始まります。当日ともなると、朝7時から準備がはじまり、片付けを終えたら、もう夜……これが2日間、長ければ3日間連続。めまぐるしくて(笑)
でも20年続けてきたことで、たくさんの出会いや繋がりに恵まれました。
これから蔵祭りを通して、醸造製品を好きになってもらったり、多可町の知名度が上がったりしたらと思っています」
受け継がれる醤油の味
蔵祭りのみならず、取引先や常連客など、「印象に残った会話はありますか?」と尋ねると、足立さんはこう話してくれました。
「『足立の醤油じゃないとあかん』って言ってくださる方がいますね。『ほかの醤油やと料理の味が変わる』と。
もうひとつ、嬉しかったことがあります。
ある女性が、長年弊社の醤油を使ってくれていて。その味で育った娘さんも、同じように常連さんになってくれたんです。
いま、その方の娘さん ―― 最初にファンになってくださった女性にしてみたらお孫さんですね。親子、孫。三世代で『調味料に使う醤油、足立の製品じゃなきゃ思う味にならへん』と、買いに来てくださるんです。
多可町で地道に醤油を作り続けてきたからこそ、その味が次の世代、そのまた次の世代に伝わっていく様子を間近にできる。ストーリーを感じます」
これからの足立醸造
最後に、足立醸造の展望を伺いました。
「農家さんの暮らしの向上に役立ちたい。その思いが大きいです。日本の農産物の品質を高めたり、農家さんの安定的な収益に役立ったりするような醤油蔵を目指していきます。
新蔵を稼働させ、輸出量を増やしながら、有機製品の意義、醤油づくりの伝統を広めることも大事ですね。
最終的にはオーガニック100%。有機醤油を100%製造する醤油蔵になるため、日々一歩ずつ積み重ねていきたいと思います」
「足立醸造」前の記事を読む → 本物を受け継ぎ、未来につなぐ。醤油を木桶で仕込む、その本懐
基本情報
足立醸造株式会社
兵庫県多可郡多可町加美区西脇112
TEL 0795-35-0031
FAX 0795-35-0281
HP:https://www.adachi-jozo.co.jp/
SHOP: http://www.adachi-jozo.co.jp/shop
取材:小迫悠香/黒川直樹
撮影・ライティング:黒川直樹
足立醸造の記事一覧
p.1:こだわりの有機と新しい蔵のこと ~足立醸造
p.2:本物を受け継ぎ、未来につなぐ。醤油を木桶で仕込む、その本懐
p.3:蔵祭りで活性化!「有機醤油を100%製造する醤油蔵」に向かって