兵庫県多可町生まれ、多可町育ちの清水亜沙美さん。インタビュー前編は現在のお仕事や家業について、さらには旦那さんと追いかける夢について教えてくれました。
後編は、多可町ならではの子育てを中心にトークが広がり、さらに「家業と夫婦の夢」がつまびらかに ――
聞き手のTAKAFANともども、現役ママだからこそ通じ合い、語らえたトーク! 後半のスタートです。
多可の輪
多可町のママグループが企画・取材するインタビューシリーズ。多可町で活動する人物にお話を伺い、さらに「語り手が、次の方につないでくれる」紹介方式でお届けします!
清水亜沙美さんインタビュー 後半の目次
子育てと家業、大変なこととやりがい
ちょうどいい距離感 ~子育てしやすい多可町
多彩な活動と、それを支えるモチベーション
夫婦の会話に弾む夢 ~きはら呉服店のこれから
子育てと家業、大変なこととやりがい
―― 呉服店のご営業があり、旦那さんの事業も支えながら、子育てもするって、めまぐるしい日々だと思うのですが、なかでも大変なのは、どんなことですか?
仕事に関しては、商工会やセミナー、委員会などは夜に開かれる事が多くて、参加することが大変ですね。子供を預けて見てもらうことになるので……。
預けて夜に仕事で外に出ることに対して、周囲の目というか「小さい子を置いて、出とってやわ」と批判的な声もあるかもしれない、と思うこともあります。
誰も思っとってないかもしれないですけどね。名前を挙げてもらえたり、声を掛けてもらえたりする事自体が有難いし、やりがいも感じるからチャレンジできています。
―― 小さい子がいて夜出るのは大変ですよね。
子育てに関しては、上の子はイヤイヤ期や自己主張もあって寝転んで駄々をこねることもあります。1つ違うとめちゃくちゃ怒って泣き叫ぶんです。
この前も園で大切に持っていた折り紙が帰宅途中にクシャとなってしまった事が嫌で怒ったり、私が先に袋を開けたら「自分で開けたいんだ!」って怒ったりします。
―― 子育てあるあるですよね。そういう時期ってありますよね。分かります。
成長段階とは分かっているが、その時は余裕ないことも多々あります(笑)
―― 親も鍛えられますよね。感情コントロールの仕方とか。
そうそう! 後から考えたら、子も自分も、なんて事ないんですけどねえ(笑)
―― わかります(笑)逆に、楽しい、嬉しいことはどんなことでしょう?
結婚、出産できた事自体が幸せですね。結婚できないと思ってたから(笑)日々、子育てのあれこれは大変やけど、落ち着いて振り返ると微笑ましかったり、成長を感じて幸せで嬉しいんです。
そして、主人が作り出した「茶穀米」には夢があるんです。日本茶カフェ構想を始め、きはら呉服店とどう展開させていこうかと考えて動けます。それが楽しくて嬉しいんです。
―― 日本茶カフェ?! めっちゃ良いですね。
今まで家業の中では新しいことをしようとしても、ポジティブに踏み出せないことが多々あってもどかしかったんですけど、主人や茶穀米の存在で夢が広がっているんです。
―― 夫婦で一緒に歩んでいけるって本当に素敵です。いま、清水さんが感じられる多可町の魅力とは何でしょうか。
ひとつは、商工会の熱心さです。補助金の利用や案内をしてくれて、町外の取引先の方にも驚かれるくらいです。
仲間も前向きな夢にあふれた、一緒に高め合える方ばかり。以前は「多可町はこれからどうなっていくんやろ〜、大丈夫かな〜」なんて思ってた時期もあったんですけど、今周りを見渡しても潰れそうな事業所さん、ないと思います。若い世代の担い手も活発です。
―― みなさん、熱心て聞きますねえ。インスタとかでも色々発信されているし。
本当に皆さん熱心で見習わないといけないんです。
他には行政の子育て支援も手厚いし、早いんです。コロナ対応の給付金も多可町独自施策があってほんとに助かるし、有難いです。
―― 私も子育て中ですが、ありがたいですよね。
ちょうどいい距離感 ~子育てしやすい多可町
多可町子育てふれあいセンターの存在も大きいです。ほんとにすごく利用しやすい! 私はここしか知らないから余計に良く思うのかも知れないけど。何をするにも受容力があって。
同じ丹波市から来られた方と話した時も、「多可町の子育てふれあいセンターはめっちゃいい。広いし室内外の遊具も充実して1日居られるから、友達や家族にも教えてる!」と言っていました。
ちょうどいい立地、環境だけじゃなくて、スタッフの方々のちょうど良い温かさと距離感と援助があるんです。子育てをしていると歩み寄ってくれる有難さってあるじゃないですか。甘えさせてくれる距離感がちょうど良い。
―― ほんと「ちょうど良い」ですね。お店も子育て環境も。
そうそう。子育ての時って、特に「ちょっとしたこと」が助かるじゃないですか。「歩み寄ってくれて、甘えさせてくれて有難う」って思うんです。
―― すごく分かります。多可町ってみんな顔知ってるわけじゃないけど、他人じゃないっていう感じがあるというか。私(たかはま)は街から移住してきたので、街って冷たいと言うか干渉しないことが優しさだったりする。でも多可町には「ちょうど良い距離感」があるなって思うんです。
そうですね。確かに!
多彩な活動と、それを支えるモチベーション
―― 清水さんは商工会の青年部やマムライフ、森のようちえん、和太鼓など、これまでいろんな活動と経験をされていますよね。ご友人やお仲間も幅広いと思いますが、こういった方々は、清水さんにとって、どんな存在ですか?
励みになる、高め合える存在ですね。
たとえば森のようちえん※は、自身の価値観を変化させてくれるほどの経験になりました。
新品の服をどろんこにしても受け入れてくれる人や、水たまり一つで何十分も遊んだりできる子どもたちと一緒に過ごしていると、「これでええんや」って大らかになりました。
元々すごく神経質だったんです。仕事の会話を寝言で言ってたりね(笑)いまは、ちょっとしたことがあっても、「まあいっか、大した事ないよね」って。
※森のようちえんにじのこ:清水さん「以前お手伝いに行っていていて、自分の子どもが生まれてからは、子どもと一緒に少しだけ参加していました。今も『共育委員会』など、ワークショップに参加しています。先日は茶穀米の日本茶に関するワークショップも開催させてもらいました」
―― ご自身の子育ての前にそういう経験ができた事は大きいですよね。
はい、そういう価値観に触れられたことは大きいです。
―― マムライフ※っていうのはどんな集まりなんですか?
多可町商工会未来創造実践部の「町内に若い女性の活躍の場を」という発案でお声掛けをいただき、生まれた女性グループです。
「多可町に住む私たちが、ちょっといいと思うモノ、ちょっと楽しいと思うコトを企画して、地域を盛り上げていけたら良いな」っていう感じですね。
コロナ禍やみなさんお忙しいので、今はなかなか集まれてないけど、メンバーは女性4名です。
※マムライフ:Borage、3mix、足立織物、きはら呉服店、商工会女性部の有志メンバー4人組。ドレッシングなど、多可町を盛り上げるべく商品開発し、イベント参加も行ってきた。「お忙しい方ばかりなので、最近はお休みしています」と清水さん。
和太鼓衆‘響’※は、和太鼓が好き、観てくれる人を笑顔にしたい、楽しませたい、和太鼓や音楽を一緒に創り上げていける楽しさを共有できる仲間なんです。結婚や出産、育児で離れているメンバーもいるけど、みんな繋がっていますよ。
※和太鼓衆‘響’:今年で28年目を迎えた和太鼓チーム。「和太鼓による新たな演奏スタイルの創作」を目指し、平成7年4月、多可町加美区を活動拠点に結成された。「女性だけ」という特徴があり、年間10件ほどのイベント出演や余興公演などを行う。2022年9月23日、兵庫県加古郡播磨町で開催された「ひょうご民俗芸能祭」において久しぶりに演奏した。
―― ほんとにいろんな活動をされているんですね。それぞれの活動について、清水さんは「ちょっと」っておっしゃいますが、どれも年単位ですもんね。
気づけばね(笑)
自分のためだけやったらね、たぶん続いてないですよ。しんどい事も多いから(笑)喜んでくれる人が居るから出来るかな。
―― ほんと人の繋がりがすごいですね。清水さんも周りの環境も大切にし合っていることが伝わってきます。活動のモチベーションとなっている事は何ですか?
自分がしている事で喜んでくれる人がいる事。関わる人が笑顔になってくれる事が大きいですね。
一緒に前向きにやっていける仲間の存在と、それが地域おこしに繋がればいいなという思いもあります。
夫婦の会話に弾む夢 ~きはら呉服店のこれから
―― いま、一番大切にしていることは何ですか?
一番、と言われるとなんだろう……難しいんですけど、マイナスな事とか、「田舎やから」とかを言い訳にしないで前向きでいる事を大切にしてます。何にしてもマイナスにはなることは無いかなって。
それと、いっぱいいっぱいになると考えすぎないこと。忘れることが得意なんで(笑)
―― そうなんですか!? でも削ぎ落とす事も大事ですもんね。必然的に大切なものが残っていくから。
ほんとうにそうですよね。
夢を持つ事も大切にしています。想いを持ち続けてれば道が繋がるというか。結婚も思いがあってタイミングが急に来たから(笑)それと家業でも思い続けていた事が実現できそうで、夢を持つってやっぱり大切だと感じています。
あと夫婦の会話!! 1人で考えていると一歩踏みだす勇気が出ないのが、会話で盛り上がると「思い切ってやってみよう!」って挑戦できる事が増えました。
―― 考え方次第で前向きになれたり、進んでいけるってことがすごく伝わってきました。最後になりますが、清水さんの目標、夢を教えていただけますか。
実は、呉服店の奥に厨房をつくって飲食スペースを設けたり、イベントを開催したりという店舗改装のプランを進めています。きはらや呉服店と茶穀米を融合させた、日本茶カフェのある呉服店です。
(※取材後、年明けの店舗改修が決まった)
―― すごく素敵です! 楽しそう〜!
きものを着てお茶をしたり、普段は着る事が少ないきものを取り入れたイベント、茶穀米のワークショップとかもやってみたいですね。
―― 今日、呉服店のなかでインタビューさせてもらいましたが、その間もお客様や取引先、地域の方など、様々な人の出入りがあって、地域における「商い」ってこういう事なのかなって肌で感じています。無くなったらあかん場所、地域にとっても大切な場所やなって。
ありがとうございます。田舎の小さい店だけど、地域密着で「ちょっと寄ろか」ってきてくださる方がいる。学生服や学校園の体操服などで関わる方もいる。今足を運んでくださっている方々はもちろん、広い世代の方々にも楽しんでいける様なお店にしたいなと思っています。そして町内外からも立ち寄っていただける場所にしていきたいですね。
茶穀米とのコラボレーション構想が、そういった夢を現実的にしてくれています。
聞き手:こんどうゆか、たかはままや(TAKAFAN)
企画・進行・校正:こみなみひろえ(TAKAFAN)
清水亜沙美さんインタビュー 前半の目次
・清水亜沙美さんのお仕事
・家業を支えたい ~キャリアウーマンライフからのUターン
・夫の実家とお店を行き来 ~二拠点生活のリアル
・夫婦で新しい夢を見る
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