ZOOMでつながるプロ農家と就農志願者 ―― 多可町農業インターン

イベントの趣旨・コンセプト・魅力

多可町は京都、大阪、神戸まで、車でそれぞれ1時間半。気候は温暖で、豊かな自然に囲まれています。

播州百日どりやお米、有機野菜など自然豊かな土壌で育った付加価値の高い素材が多数あり、「農」のポテンシャルを秘めた地域です。

そんな多可町は、現在農業インターンを開催中! 

今日は遠方にお住まいでも、この町の農業や移住に関心を持ってくださる方をZOOMにお招き!

多可町のプロ農家が農業インターンを行います。

インターン農家

七代目藤岡農場 藤岡啓志郎さん

生命科学の道から農業に転身し、アメリカ留学で培った農法を実践する藤岡さん。
東京ドーム約1個分のにんにくをはじめ、こだわりの野菜を栽培する有機JAS認定農家です。

モットーは「人の体に安全、安心なだけではなく、環境にも優しい環境・農法の推進」!

多可町の不耕作地を再活用し、有機JAS圃場を広げています。

相談者プロフィールと動機

参加者:Aさん

現在、日本の南側で、地域おこし協力隊として農業活動に従事。

「任期後、生まれ育った兵庫に帰るつもりです。兵庫および、多可町の農業の現状をヒアリングしたいと思って、ZOOMインターンに応募しました」

ZOOMインターン

農業環境と栽培品種

Aさん ―― 今日はよろしくお願いいたします。藤岡さんは代々、農家のお宅ですか?

藤岡 ―― 規模が大きな、兼業農家の家でした。私が5年前、アメリカから多可町に戻って、法人事業として再スタートしました。

Aさん ―― 多可町はどんな作物が多く作られていますか?

藤岡 ―― うるち米と山田錦、あとは黒大豆(丹波黒大豆)。これは特産としてPRしている丹波篠山の次に、生産が多いんですよ。町内だと、お米の転作で作られてますね。

多可町では主に、うるち米でいうとコシヒカリ、ヒノヒカリ、キヌムスメを栽培しています。また、酒米はお酒以外にも、米粉用としての利用価値も高まっているので、これから農業を始める方にはオススメです。

Aさん ―― 畑や田んぼなど、耕作できるスペースはありますか?

藤岡 ―― 多可町も農業従事者が高齢化しています。多くの農家さんが70代前後。耕作放棄地も広がっています。10年後は誰が農家をする? 農地を管理する?など、喫緊の課題が山積みです。

なので、農地の取得はできると思います。ただ、すぐに好条件の田畑が見つかるかというと、難しいかもしれません。やっぱり、いい農地はなかなかパッと出て来ないし、耕したら石が出たり、水の使い勝手が悪かったりといった土地が空きがち。ジャンボタニシの被害も少なくありません。

イノシシや鹿、獣害も問題ですね。作物を作っても食べられてしまう。特に、耕作が放棄される土地は、獣害が多い。電気柵で囲い、常に状態をチェックすることも、栽培以外の大事な取り組みになります。

弊社も耕作放棄地の再活用をテーマにしているので、こうした獣害対策のことも考え、主力の品目をニンニクを中心にしたんです。

Aさん ―― 私もニンニク、育ててるんです。御社のお米と大豆、ニンニク、それぞれの栽培量を教えてください。

藤岡 ―― 弊社は6ヘクタールがニンニクです。

Aさん ――  6ヘクタール?!

藤岡 ―― その他、お米が11ヘクタール、大豆が3.5ヘクタールですね。ニンニクは無化学肥料、有機JASの有機資材だけを使ってます。畑のうち、半分くらいが有機JAS認定の畑です。

※東京ドームの広さ:約5ヘクタール

Aさん ―― ニンニクの栽培リスク、どのような事柄がありますか?

藤岡 ―― 病気が問題ですね。カビが由来なら菌で押さえられますが、細菌が原因だと防ぎようがなく、一株づつ手作業で抜くしかない。なので、私は病気が出たら、圃場ごと捨ててます。

すべての田んぼや作物を大事にしたいし、品質にもこだわりますが、まずは利益を考えるんです。捨てても大丈夫なように、畑を広げ、地域も分けるリスク分散をしています。

それと、ここ数年、環境ががらりと変わるくらい、夏が暑いですよね。これが続くとしたら、いま九州あたりで作られてる品目が、多可町に適してくるかもしれないなあと。

私は、アボカドが狙い目だと思ってます! Aさんも、こちらに来られるなら、ぜひご検討を(笑)

Aさん ―― アボカド、覚えておきます! 水の状況や環境はいかがですか?

藤岡 ―― 多可町は川の水を使います。水路があるので、場所によっては取り合いになってしまう。池の水を使う地域は、その利用について揉めますしね。

そもそも、ルールが地区によってまちまちなんですよ。水をゆるく流しておくところもあれば、ガチっと止めておく集落もある。まずは地区の農家さんにルールを教えてもらうこと。1、2年目は、ぼくもよく怒られました(笑)大事なのは鋼のメンタルですね(笑)

Aさん ―― 多可町は、台風は来る地域ですか?

藤岡 ―― 台風はほとんど来ないんです。その点では恵まれています。

もしも予報が出たら、それぞれに対策が必要です。ビニールハウスのビニールを外す人もいますし、「やられたら仕方ない」って方もおられます。交換の時期が近ければ、「どの道、そろそろ交換やし」って(笑)

あ、そうだ。デメリットとして、暖房費は高い。冬が寒いので、どうしても灯油やガス……光熱費が上がってしまう。さらに、ここ数年は価格高騰もあって、農家さんがきつい状態になってきたって話は、たくさん聞きます。

Aさん ―― 最近、新規就農された方はおられますか?

藤岡 ―― トマトの方が1名、農業大学で学ばれて、最近就農されました。また、50代でセミリタイアされ、資金がかなりある状態で、お米を中心に営農された方もおられますし、白ネギで頑張っている方も1名。その他、ご家族内の事業継承 ―― 代替わりの方は何名かおられます。

やっぱり、多可町に基盤がある方が強いですね。農機具や施設栽培、そのまま使えますし。

多可町の有機農業

Aさん ―― いま、有機農業に力を入れています。ただ、いろんな農家さんと話していると、有機にこだわると収入的に厳しいことがわかってきたんです。長い目で考えたら、子どもが安心して食べられる野菜を作りたいけれど、まずは自立を目的にすべきかな、と。

藤岡 ―― たしかに、有機農業だけで……となると厳しいと思います。

多可町や加東市など、北播(ほくばん)エリアは山田錦の栽培が盛んです。弊社は山田錦やにんにくの有機栽培を行っていますが、多可町全体でいえば、有機農家は少ない。山田錦は、今のところうるち米より高く売れるので、わざわざ有機をしないこともあって。

ただ、山田錦はJAが買い取るので、個別で販売していくのは難しいんです。また、有機農業で生計を立てるとしたら、面積を広くしないと厳しい。もしご希望されているなら、大規模な田畑を借りたり買ったり、運営したりする事業計画をオススメします。

アイデアとしては、ハイブリッド型ですね。慣行農法と有機農法の併用。いくつかの品目の平行栽培。これはリスク分散になるし、いいと思います。

Aさん ―― 多可町で農業をしたい場合、計画やスケジューリングを助けてくれる機関はありますか?

藤岡 ―― 加西市の「加西農業改良普及センター」に相談してもらえたら、アドバイスはいろいろもらえますよ。

自営していくための方法や使える補助金の案内、経営計画の作成 ―― 現在の市場、この辺りで作られてる品目など現状も交えたサポートが受けられると思います。

現実的な話、多可町で就農しようと思ったら、まず市川町か丹波篠山で研修を受け、同時並行で多可町の状況をリサーチして、農家さんとつながりを作り、下準備をしていくのがいいと思います。

補助金にしても、品種によって使える、使えないがあるので、センターから解説をもらうことも大事ですね。

弊社からセンターや役場、近畿農政局におつなぎすることもできます。ご検討されて、また、お声かけください。

Aさん ―― 今日はありがとうございました。

おわりに

(株)多可町地域商社RAKUでは、今後も農業インターンを開催していきます。

町内の気になる農家さんに会えたり、作りたい品種によって研修先が選べたりと、オーダーメイドスタイル。リアルやオンラインなど、研修形式も自由です。

ぜひ、ご連絡ください。

▼農業インターン&ツアーは、下記ページの「多可町のプロジェクト」にて、ご案内しています。

SMAUT 多可町イベントページ

▼運営主体

㈱多可町地域商社RAKU

多可町の有機栽培野菜については買取販売を実施。兵庫県内でのマルシェ活動や販路拡大を通して農産品のPRを行っています。
空き家を通した移住定住支援や空き家の利活用なども行っています。
まずは知ってみる!やってみる!という方、下記、イベントページからお気軽にお問合せください。

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