棚倉さん(多可町八千代区/八千代山田錦部会会長)
ベタゴケした山田錦
私が田んぼをする八千代区、土壌は砂地系、収量も多くはありません。町内で、収穫量が多い地域よりも気温が低く、日照時間も短いしね。
ただ、水はいい。それと、寒暖差が大きいから、お米は美味しいですよ。それは昔から変わりません。
私が子どもの頃、このあたりは機織りの音がずっと響いていてね※、朝は6時くらいから、夜は10時ごろまで。その機械音を聞きながら、農作業を手伝いました。
※機織りの音:多可町は伝統織物・播州織の産地。特に八千代区は工場が多く、現在も屋根がのこぎり型をした播州織ゆかりの建物が残る。
うちは酪農もしていたから、畦草を集めたり、育てたレンゲ草を採って運んだり、稲藁を回収したり。いろんな仕事がありました。
稲藁集めは、稲刈りが終わってからずっと、それこそ年明けぐらいまで続く仕事でした。まぁ……ホントにね、ちいさな頃から家の手伝い、させられまくりだった(笑)
28歳で家に戻り、本格的に田んぼをするようになったんです。
失敗ですか? 1度、山田錦を全部、ベタゴケさせました(笑)田んぼの土に、みんなベターッと倒れて。せっかく育てたのにカビて、腐って……あのときは「山田錦は難しい、もう懲り懲りだ」と思いました。
JAが山田錦に力を入れるようになったし、作る人もだんだん少なくなってきたしね、背中を押されるように、今日まで営農してきました。
いまでは八千代区で1町2反の田んぼを耕作しています。
つながりを次世代に
今年から八千代区の山田錦部会で、会長をしています。地区としてありがたいのは、桝田酒造さん((株)桝田酒造店/酒造・満寿泉)との村米制度。山田錦の契約栽培以外にも、定期的に行き来したり、食事やお酒の場をご一緒したり、アットホームな交流が続いています。
ほかの部会からも羨ましがられるんですよ。「桝田酒造と八千代の酒米制度はいいな、あたたかいよな」って。部会全体で大切にしてきたつながりを、つぎの世代にも引き継ぎたいと思っています。
うちの田んぼのことでいえば、コロナ前、甲南女子大学(神戸市東灘区)の学生と一緒に、田植えや稲刈りをしていたんです。大学が100周年を迎えた年、学生がラベルをデザインして、うちの集落の山田錦で仕込んだ日本酒を限定200本、製造してね。
こういう取り組みは、若い世代にお酒造りや山田錦のことを伝えられるし、地域の人たちと世代を超えたつながりも生れる。いいですよ、若い人たちが来てくれてね、一緒になってやってくれるって。
今後も体験ツアーやイベントを企画して、日本酒と山田錦、部会をアピールしたいですね。若い世代や普段は日本酒を飲まない人におすすめの日本酒もあるので、田んぼに来てくれたとき、ぜひ紹介したいと思ってます。
多可町日本酒フェスタ2023
と き 令和6年2月23日(金・祝)午前10時~午後3時
ところ 多可町文化会館(ベルディーホール)
屋内(大ホール・ロビー)、屋外(噴水広場等)
多可町ゆかりの酒蔵16蔵のお酒を飲み比べできます!
お酒を飲まない方も楽しめる企画あります♪
★お楽しみ抽選会
ご来場者全員参加できる
(アンケートに答えるだけ!)
アラジンのトースターなど豪華賞品当たります♪