有機JASの田んぼで酒米作り ~シリーズ「多可町の山田錦」

吉田さん(多可町中区)

35年間にわたる米づくり

農業を始めた時期ですか? 手伝いだったら、物心がついた頃から。25歳で山田錦を栽培し始めて、今年で35周年です。

150枚、14町の田んぼを耕作しています。化学肥料を使わない特別栽培と有機JAS認証を取得した田んぼがあり、有機JASは始めてから15年目ですね。

「有機で(栽培)するなら、先に販路を見つけないとダメですよ」と吉田さん。

秋田村とのつながり

検見に訪れた秋田県酒造組合と秋田村の生産者のみなさん

村米制度※でつながる秋田県酒造組合さんとは、10年以上のお付き合いになります。
※村米制度:播磨地方の酒米産地と特定の蔵元との間で結ばれる酒米取引制度のこと。契約栽培の一種。

▼記事リンク 秋田県の蔵元に高品質の山田錦を

今年の山田錦の出来を確認する秋田県酒造組合のみなさん

酒蔵見学では仕込みの様子や蔵人の生の声が聞けて、様々な刺激がもらえて、モチベーションが高まるんです。

「毎年、いい山田錦を作ってくれる」と声をかけてもらってます。農家として嬉しいですよ。品種も多く、どれもいい酒。やり甲斐がありますね。

検見後の交流会で、今年の山田錦の出来を伝える吉田さん

好きなお酒ですか? 日本酒はどれも好きですが、ほかのお酒とちょっと違うといえば、「大平山」(たいへいざん)。

日本で3本の指に入ると言われる杜氏に会って、教えてもらったんです。このお酒は、掛米(かけまい)※も山田錦。その杜氏は「遊びで作った」って言ってましたけどね。豪華な作りですよね。

※掛け米:日本酒は原料となる米を「研いで洗い、水に浸し、蒸す」という工程から始まる。これを「麹米」「酒母(しゅぼ)米」「掛米」に分ける。ただしコスト削減のため、もっとも多く使われる掛米(構成比70%)は、割安な米に変えられることも。

山田錦の親株・山田穂もアピール

今の時代、いい物を作るのは当然で、景観や町・土地の歴史、農産品、加工品、郷土料理……観光。こういった事柄を組み合わせ、外からお客さまに来てもらわなきゃいけない。

以前、多可町に酒蔵を作ろうと、酒蔵や町と一緒に頑張った時期がありました。山田錦発祥の地に酒蔵があったら、国内だけじゃない、きっと世界中からお客さんが来てくれるでしょうからね。

当面の目標は2つ。ひとつは兵庫県産山田錦の希少価値のPRです。

山田錦は1923年(大正12年)、兵庫県の農事試験場が開発した酒米です。いまでは他県にも広がり、コシヒカリぐらいの粒※も出回っている。

我々は規格に合わせて生産しているし、心白の質や特徴にだってこだわる。こういう山田錦のよさを、あらためて伝えたい。
※粒のサイズ:平成23年、JAグループ兵庫は動力米選機のふるい目を変更。山田錦の規格を2.05mmに統一した。コシヒカリは産地・品種によってまちまちだが1.8~1.9mmが平均。酒米は「高度精米」を行うが、乾燥させた米をさらに削るために米粒が小さいと割れ、収量が下がる。結果、大粒が求められる。

もう一つは、山田穂(やまだぼ)。山田錦の親株(母方の品種)ですね。私は、これを推したい。

山田錦より背が高くなるので倒れるリスクが高く、稲藁も太くって刈りにくいのが山田穂。でも、これぞ多可町発祥の酒米です。酒蔵からも「山田穂を使いたい」という声が届きます。『巡米 まんさくの花 山田穂70』といった、山田穂で仕込まれたお酒もあるんですよ。

山田錦とともに、山田穂とそのお酒のことも、広く伝えたいと思っています。

吉田さんに粒を数えるコツを教わった。「穂の末端を中指の先に当て、穂の先っぽが手首に達する長さで、約120の粒がついている」とのこと。

多可町日本酒フェスタ2023

と き 令和6年2月23日(金・祝)午前10時~午後3時
ところ 多可町文化会館(ベルディーホール)
    屋内(大ホール・ロビー)、屋外(噴水広場等)

多可町ゆかりの酒蔵16蔵のお酒を飲み比べできます!
お酒を飲まない方も楽しめる企画あります♪

★お楽しみ抽選会 
 ご来場者全員参加できる
 (アンケートに答えるだけ!)
 アラジンのトースターなど豪華賞品当たります♪

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