父に負けない米作り ~シリーズ「多可町の山田錦」

中川さん(多可町加美区/加美山田錦部会)

祖父と田んぼに

農業を始めたのは30代後半です。父が亡くなってね。祖父を助ける形で、朝5時から田んぼに出るようになりました。勤めながらの農業でしたが、「父に負けない米を作りたい」と思ってね。

山田錦の栽培は30年前から。加美区の山田錦部会、会長をさせてもらって11年目になります。

台風にも負けず、栽培の勘を養う

土壌は黒ボク土※。水は千ヶ峰の伏流水で質がいいし、陽当りも良好。夜も寒いのでね、米の生育によい土地だと思います。コシヒカリなんて、よく育ちますよ。
※黒ボク土:火山からの放出物や腐植が集まった土壌。黒い表層と「ボクボク」と砕けやすい性質が特徴。

山田錦は穂が膨らむと、重たくなる品種なので、倒れるリスクもあるんですけどね。「心白※がよく出る」と言われます。
※心白:米の中心部分にある白色の不透明な所。 この部分は空洞かつ柔らかく、麹菌の菌糸が入りやすい。 糖化もしやすく、酒米に欠かせない。

加美区だけではなく、多可町自体、災害が少ないんです。

でも……あれは10年以上前、大きな台風が来ましてね。9月末から10月の始め頃だったかな、順調だったんですよ、その年の山田錦は。発芽も穂の付きもよかった。

それがね……どうにもならない。大嵐にぜんぶやられて、半減……それ以下の出荷量でした。飼料米にするのがやっとでね。価値なんてもう、1/3ですよ。

台風ともなると、なかなかどうしようもありませんが、酒米の栽培といえば、大事なのは水の管理。

毎日、山田錦の顔を見てね、病気や肥料のことを考えるんです。

水や稲穂の観察、様々な調整の方法は……まぁ、勘です。農業を始めて10年ぐらいで、だんだんわかるようになってきます。

「父に負けない米を作りたい」という気持ちで始めた農業も、その頃ですかね、「すこし、父に近づけたかな」と思えたのは。色んな経験を積んで。

村米制度で、活気ある酒米づくり

加美区は、昨年から秀鳳さん(秀鳳酒造場/山形県)と村米制度※を結ばせてもらいました。JAさんにつないでいただき、みんなで山形県に行ってお話をさせてもらって。念願が叶いました。
※村米制度:播磨地方の酒米産地と特定の蔵元との間で結ばれる酒米取引制度のこと。契約栽培の一種。

せっかく村米制度でつながれたので、農家と酒蔵、意見交換を積極的にして、いい山田錦、いいお酒づくりに役立ちたい。生産のやりがいがぐっとあがりました。

いま、私の田んぼは1町3反。コシヒカリと山田錦、半々の割合で栽培してますが、来年(2024年)は山田錦を多く作る予定です。

日本酒は昔から好きだったんですよ。でも、大関など、買いやすいお酒を呑んでました。

いまでは晩酌、秀鳳さんのお酒です。好きなのは純米大吟醸。ちょっと辛口で、それでいてさらっと呑める。旨いですよ。

多可町日本酒フェスタ2023

と き 令和6年2月23日(金・祝)午前10時~午後3時
ところ 多可町文化会館(ベルディーホール)
    屋内(大ホール・ロビー)、屋外(噴水広場等)

多可町ゆかりの酒蔵16蔵のお酒を飲み比べできます!
お酒を飲まない方も楽しめる企画あります♪

★お楽しみ抽選会 
 ご来場者全員参加できる
 (アンケートに答えるだけ!)
 アラジンのトースターなど豪華賞品当たります♪

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