宮崎さん(多可町八千代区/株式会社あぐりたか)
山田穂と山田錦
私が就農したのは2016年です。同時に「あぐりたか」を法人化しました(株式会社あぐりたか)。
町内の田んぼ19町で山田錦や山田穂(山田錦の母方の稲)、コシヒカリ、キヌムスメ、ヒノヒカリ、牛の肥料ロール(イネホールクロップサイレージ)などを生産しています。
山田穂は藁が太く、背も高いからコンバインへの負担が大きい。縦によく育つ分、倒れやすく、病気や腐蝕(ふしょく)のリスクも高まります。これを改良するため、背が低い酒米の短稈渡船を掛け合わせたのが山田錦ですね。
山田錦は「酒米の王様」と言われるように、栽培しやすく、品質もいい。ただ、弊社は山田穂も大事にしてます。多可町発祥の酒米ですし、酒蔵の関心も高い。杜氏さんからは「山田穂は、ぬる燗や熱燗にしても香りがあり、昔ながらの酒が仕込める」と期待されています。
八千代区の山田錦の特徴・田んぼの特徴
八千代区の田んぼは台形が多いですね。水に関しては、時期によって量が減ることはありますが、切れる心配はありません。
土壌の質は色々。ぬかるんだ土なら、倒れにくいいキヌムスメ。乾きがいい田んぼは山田錦と、植える品種を変えています。
また、八千代区といえば播州織※の工場が多く、女性が機織りにかかりきりだったことも影響したのか、男性中心で農業をしてきたようなところがあるんです。
※播州織:200年以上の歴史がある織物。糸を染めてから織る「先染織物」が特徴。播州織はこの分野で、国内70パーセント以上のシェアがある。
時代も変わりましたよね。これからは女性もコンバインに乗ったり、農業で活躍したりするような地域になればと思います。
株式会社桝田酒造店とのつながり
八千代区が村米制度でお世話になっている桝田酒造さん(株式会社桝田酒造店)は、皆さん温かく、田植え体験など定期的に交流させてもらってます。
さきほどお話しした山田穂への意見など、お酒を仕込む立場から率直に聞かせてもらえる、ありがたい機会です。
新たな日本酒造りに取り組む姿勢にも、刺激されます。スパークリング日本酒ってあるじゃないですか。市場に出ているほとんどの製品は、あとから炭酸を足します。でも桝田酒造さんは、醸造のコントロールでガスを発生させていた。シャーベット状のフローズン日本酒もユニークですよね。
また、農家にやりがいをくれるのも桝田酒造さん。納品時、お酒は袋に入っていますが、ここに酒米生産農家の名前を入れてくれます。ありがたい気配りです。
あぐりたかの未来
社名をつけるとき、「多可町を農業で知られるまちにしたい」という思いを込め、「あぐりたか」にしました。
いずれは営農に加え、芋掘りや黒豆収穫など体験や観光サービスを展開したいと思っています。また、八千代区はホタルが舞う地域ですし、美味しい野菜や特産品の料理と宿泊も提供したい。
もうひとつ、若い世代の雇用。「きつい」とか「きたない」と思われがちな農業ですが、いまでは機械化が進み、ドロドロになることはほとんどありません。繁忙期(4~6月、9~10月)以外は定時に帰れますしね。
閑散期は別の仕事をしてもいいんですよ。アーティストを志す若者なら、制作の時間を確保できるし、アスリートだったらトレーニングに使える。
こうした働き方や新しい農業のイメージを伝え、若い世代を呼び込むことも、私たちの仕事だと思っています。
多可町日本酒フェスタ2023
と き 令和6年2月23日(金・祝)午前10時~午後3時
ところ 多可町文化会館(ベルディーホール)
屋内(大ホール・ロビー)、屋外(噴水広場等)
多可町ゆかりの酒蔵16蔵のお酒を飲み比べできます!
お酒を飲まない方も楽しめる企画あります♪
★お楽しみ抽選会
ご来場者全員参加できる
(アンケートに答えるだけ!)
アラジンのトースターなど豪華賞品当たります♪