播州百日どりはもとより、「時期によっては鶏よりも高価」だという「ごぼう」など、材料・調味料にも徹底的にこだわるみつばグループ。どの製品も手仕込み、手作りを厳格に守り、コトコト、コトコト、地元の女性が調理しています。
今回は代表の安藤松子さんに、みつばグループの誕生の経緯からこだわりの材料と調理、そして加美区への思いをインタビュー。
インタビュー第2弾は、名物「とりめしの具」など6つの特産品について、開発の経緯や材料の特長、「こんな時に食べたら美味しい」という状況をご紹介!
みつばグループがいかに材料と製法にこだわり、食卓を囲む方々を思い浮かべながら事業をしているか、一目瞭然の記事です。
目次
1.みつばグループの商品
2.基本情報
みつばグループの商品
多可の逸品
多可町がブランドとして認証する「多可の逸品」。町内の事業所で製造される製品のなかで「特に信頼でき、優れている品」として、みつばグループの製品も認証されています。
とりめしの具(常温用)
播州百日どりで再現した郷土料理
かつて、集落の行事に、鶏肉の混ぜご飯を振舞った多可町加美区。これを「かしわご飯」と呼び、親しんでいたそうです。
これを「播州百日どり」で再現したのが『とりめしの具』。ことことこっとん、母の味、故郷の味です。
ご飯に混ぜるだけで、ごぼうや人参、油揚げの香りがふんわり立ち上がり、播州百日どりはごろっごろっ。あっという間にできる1品が食卓をほんわか、うれしくします。
涙が出るほどうれしかった
『とりめしの具』を売り始め、デパ地下で初めてイベント出店したときのこと。
試食を終えた中年男性が安藤さんを前に、目を潤ませていたそうです。
「『どうしたのかしら?』と思ってね、私も彼をじぃっと見たんです。そしたら『涙が……出るほど旨かった』って、しみじみ言ってくださって」
この出来事を「忘れられない」と振り返る、安藤さん。
「あの男性、母親の味を思い出されたんだと、直感したんです。私たちのこだわりが伝わった、と。私のほうこそね、涙が出るほどうれしかった」
商品詳細
播州百日どり こっこカレー(オリジナル/アジアン風味)
玉ねぎ農家との出会い
あたためるだけで美味しいカレーが食べられる『こっこカレー オリジナル』と『こっこカレー アジアン風味』は、みつばグループの人気商品です。
鶏肉はもちろん播州百日どりを使用。さらに、玉ねぎは淡路産と兵庫がいっぱい味わえることから、県外へのお土産としても喜ばれています。
ところで、この淡路産の玉ねぎ。安藤さんには特別な思い入れがあるそうです。
「みつばグループと播州百日どり、その製品を町外にアピールするため、出張販売を繰り返した時期があります。そのころ、たびたび催事場でご一緒させていただいたのが池上さん。淡路で玉ねぎを栽培する、働き者のおばちゃんです。
ただ、元々学校の先生だったそうで、農家としてのキャリアをたくさんお持ちだったわけではなくて。それでも、職を変えてひたむきに栽培される姿への共感があって。玉ねぎへの思いも強くってね。
みつばグループでレトルトカレーを作ることになったとき、そんな池上さんのお顔がパッとね、思い浮かんだんです。『ぜひ池上さんの玉ねぎを使いたい!』と」
安藤さんの依頼を、池上さんは快諾。めでたく、商品化の運びとなったそうです。
「淡路産の玉ねぎは甘味が豊かで、うちのカレーには欠かせない」と安藤さん。
こちらの玉ねぎはみつばグループの商品『こっこどん』にも使われています。
こっこカレーの誕生秘話 ~和食の鉄人がアドバイス
そんなこっこカレーですが、誕生にも紆余曲折があったそうです。
2015年、播州百日どりを世に広める目的で「多可町グルメ研究委員会」がスタート。安藤さんは委員長に就任しました。
このとき、一般公募のレシピを監修したのが和食の鉄人・太田忠道さん。安藤さんは「鶏肉は要冷蔵で賞味期限が短く、流通に乗せにくい 。全国区にするなら日持ちのする食品を開発してはどうか」とアドバイスされたそうです。
安藤さんはレトルトカレーの開発を開始。10種類以上を試作するなかで、「オリジナル」と「 アジアン風味」、2種類の「こっこカレー」を商品化。
オリジナルは玉ねぎの甘味が滲み出し、コクとまろやかさが舌のうえで溶けます。ココナッツミルクの風味が特長のアジアン風味は、若者からも支持される本格派。
どちらも賞味期限は2年間。保存食としてもお勧めです。
2種類のカレーは道の駅・杉原紙の里 多可(多可町加美区) https://www.michi-no-eki.jp/stations/views/20044 でも召し上がっていただけます。
商品詳細
播州百日どり こっこカレー オリジナル&こっこカレーアジアン風味(みつばグループHP)
缶詰シリーズ ~こっこめし、とりめし、とりつま味
みつばグループの缶詰シリーズは『とりめしの具』や『こっこどん』など、常温・冷蔵の商品と同じ材料で作れられています。
多可町の特産品・播州百日どりや淡路産の玉ねぎなど、こだわりの食材だけが使われ、味や栄養価は間違いありません。
また、保存期間が3年と長く、美味しい非常食としても注目されています。
こっこめし
兵庫県明石市の名物「たこめし」にヒントを得て、開発したのが「こっこめし」。
もち米系でやわらかな地元のコシヒカリと、多可町発祥・酒米の王様「山田錦」を50%づつ炊き上げ、播州百日どりを混ぜ込んだ一缶です。
缶製品だからといって妥協はありません。
いりこや昆布、清酒など無添加の調味料だけで味付け。醤油は常温の製品同様、有機醤油で知られる醤油蔵・足立醸造(多可町加美区)の醤油を使っています。
「なんにもしたくない。でも、美味しいものが食べたい。そんなとき、『こっこめし』を缶ごと湯煎、もしくはお皿に移してラップをし、レンジで2分間あたためてください。
それだけで、播州百日どりの肉質がぎゅっと詰まった、おいしい炊き込みご飯が食べられますよ」と安藤さん。
お茶碗1杯には収まらない240gのボリュームで、食べ応えも十分です。
商品詳細
とりめし
『とりめし』の缶詰は、加美区自慢のコシヒカリと多可町発祥の最高級酒米「山田錦」を5:5で炊き上げ、みつばグループの定番『とりめしの具』を混ぜ込みました。
安藤さんはこう話します。
「『とりめし』に使うコシヒカリは、加美区で採れたもち米系の品種。これを山田錦と炊き合わせることで、もっちりし過ぎず、食べやすい触感が生まれるんです。
こうした美味しいお米の味わいに加え、ごぼうや人参、油揚げ、播州百日どりの旨味を楽しんでもらえると思います」
『こっこめし』との食べ比べも楽しく、セットで御土産にされるお客さまも多数。
こちらも『こっこめし』と同じ、240gのボリュームです。
商品詳細
とりつま味
「缶詰シリーズにもおつまみを」という声から生まれた『とりつま味』。
播州百日どりのもも肉・むね肉、ごぼう、こんにゃくの合わせ炊きは、お酒のお供にぴったりなので、いつもより呑む量が増えてしまうかもしれません。
安藤さんは「『もう一品、食卓に並べたい』というとき、この缶詰がいいんです」と話します。
「ポンっと蓋を開けた瞬間、鶏肉を包み込む茶色いゼリーが見えると思います。その正体は栄養の塊、鶏肉と調味液が凝り固まったコラーゲン。これがご飯にも合うんですよ」
実は、この『とりつま味』。仕上がりの風合い、味わいのバランスを考え、鶏肉・ごぼう・こんにゃくは別々に炊かれ、調味料もきめ細かく調整されています。
こだわりの具材、その旨味と手間暇、真心がぎゅっと詰まった一缶をひとつポンっと開け、今夜は乾杯しませんか?
商品詳細
基本情報
みつばグループ
多可町加美区の特産品・播州百日どりを使った加工品を販売するみつばグループ。
加美の郷土料理「かしわご飯」を元に開発した『とりめしの具』や、ご飯に乗せるだけで鶏肉どんぶりができる『こっこどん』など、播州百日どりをふんだんに使った、簡単で美味しく、安全・安心な家庭料理を手作り。
鶏肉やごぼう、人参など、材料はすべて手切りです。
煮炊きに使われるのは、25年間の長きにわたって磨き込まれた大鍋。
ぐつぐつ、ことこと……香りや音、見た目など5感を頼りに調理します。
みつばグループ代表・安藤松子さん
みつばグループは65歳~80歳以上の女性の集まりで、長い人で勤続、約20年。みんな年齢は重ねているものの、バイタリティに溢れてますよ。
ささがきが上手な人、力仕事ならお任せな人、計測など細やかな作業が得意な人など、一人ひとりに得意分野があって、家族のように助け合える仲間なんです。
人生100年時代にふさわしい職場だと、自負してます。
みつばグループ
679-1211
兵庫県多可郡多可町加美区寺内251
電話:0795-20-1263
HP:http://www.mituba.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/mituba_group/
取材:小迫悠香/黒川直樹
撮影・ライティング:黒川直樹
前の「みつばグループ」の記事を読む → 手作り、手仕込み、コトコトコトコト、母の味。
みつばグループの記事一覧
p.1:手作り、手仕込み、コトコトコトコト、母の味。
p.2:朝締めの播州百日どりを手仕込み。こだわりの味、そして人生100年時代への挑戦