変わり種もいっぱい! 旬の野菜を年間約60種、有機物質だけを使いながら栽培します。
祐尾智紗美さんは約10年間、世界をぐるりと歩いた旅人です。
「海外に行って、お金がなくなれば現地で働いて、それでもやりくりできなくなったら日本に戻ってバイト。貯めたお金でまた海外に行って」
そんな祐尾さんが旅先のいろんな農場で働いた経験や、その農家の家族・仲間と過ごした濃厚な生活から有機野菜づくりに目覚め、生まれ育った多可町で立ち上げたのが「農場なつめやし」です。
インタビューの終わりは、忘れられない会話、思い出、そして農場なつめやしの未来について話していただきます。
●農場なつめやしインタビュー
教えて、祐尾さん!
「タカラバコ?! 野菜作りで人との距離が近くなり、世界が変わった」
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質問!
Q:現在、何種類の野菜を育てていますか?
Q:うれしかったお客さまとの会話はありますか?
Q:「農場なつめやし」の野菜が食べられるお店、定期的に買える場所を教えてください。
Q:現在、何種類の野菜を育てていますか?
A:一年間で60種類以上を栽培します。
その時期、美味しいものだけを食べてもらえるように計画しているんですが、組み合わせやバリエーションも楽しんでほしくって。
どんな季節、どんな時期でも10種類以上の違う野菜が収穫できるように頑張っています。
伝統野菜や変わり種も多いです。
ユーマーサイ(油麦菜)って知ってますか? さっと火を通し、塩をふりかけるだけで美味しい。炒め物に向いた、台湾や中国で食べられるレタスです。
ユーマーサイを初めて食べたとき……「これは!?」ってびっくりしたんです。食感はレタス。ところが、茎のところの味が、まるでトウモロコシでした(笑)
キュウリやナス、カブのようなポピュラーな品種や伝統野菜、ユーマーサイのような珍しいものを、約40aぐらいの畑で育てています。
他に米と黒大豆の田畑があって、黒大豆の味噌も作るんですよ。
Q:うれしかったお客さまとの会話はありますか?
A:たくさんあります!
たとえば、野菜を買ってくださった方が、わざわざ電話で「今日は大きな南瓜を買って。それを炊いてお父ちゃんと一緒に食べたよぉ」と伝えてくれるんです。
「美味しくって、思わず電話してしまった」と。
こんなとき、お客さまにとって顔が見える農家でいられているのかな、と感じます。
タカラバコ
先日、野菜セットを購入者さんに配達した時は、こんな出来事がありました。
お宅に着き、野菜セットを手渡したら、お母さんがご家族に向かって、「宝箱が届いた」と、ポロっと口にされたんです。
はじめ、「宝箱? なんのこと?」とわかりませんでした。ただ、家族のみなさんが野菜セットに近づいて、「今日の宝箱、なにが入ってるかなー」って興味津々で。
その様子から、「あ! このご家族はみんな、野菜の入った箱を『宝箱』って思ってくれているんだ!」と合点して。
凄いですよね……そんなに大切に思ってくださるなんて。
距離が近づき、世界が変わった
こういった忘れられない会話がいくつもありますが、何より嬉しかったのは、生まれ育った地域の方々と、より親しくなれたことです。
私がここで農場なつめやしを始め、畑をひろげていくにつれ ―― たとえば散歩コースをわざわざ変えて、畑の様子を見ていってくれるご近所さんがいたり、「いまは何を作っとるんや? 手伝おか?」って、作業を手伝ってくれる人がいたりと、地域の皆さんと距離が近づき、みんなの支えを感じながら生きられるようになった。世界が変わりました。それが凄く嬉しいです。
Q:「農場なつめやし」の野菜が食べられるお店、定期的に買える場所を教えてください。
A:道の駅「山田錦発祥のまち・多可」で販売しています。
▼道の駅「山田錦発祥のまち・多可」(多可町中区)
公式ホームページ
定期的に出荷しているのはこちらだけです。
農場なつめやしは2022年4月、事業体として本格スタートするので、買っていただける場所、食べてもらえるお店が、もうすこし増えます。
一般家庭向けの野菜セットの定期販売にも力を入れていきたいです。農業を通じて地域貢献もしたい。
一番は、地域の人に地元で育った旬の野菜を食べていただくことだと思っています。
取材:小迫悠香/黒川直樹
撮影・ライティング:黒川直樹
基本情報
農場なつめやし
オーナー:祐尾智紗美さん
多可町加美区山野部
農場なつめやしの記事一覧
p1.10年かけて100カ国を歩いたら、生まれ故郷に辿り着いた ~農場なつめやし
p2.農場なつめやしの安心安全栽培って、どんな農法?
p3.いずれはオリジナルの伝統野菜が誕生? 自家採種の役割、そして楽しさ
p4.タカラバコ? 野菜作りで人との距離が近くなり、世界が変わった