兵庫県多可町の加美区、9月の岩座神(いさりがみ)は景観が見事。
集落の運営やイベントに関わる方にお話を伺ったり、集落をぐるりと歩きながらスナップしたりしました。
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今日は岩座神の棚田について少し書いてみます。
ルーツは鎌倉時代 ~伝承された農業と景観![](blob:https://raku-taka.com/83d595c9-f5b0-4431-a204-305d89212ef5)
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兵庫県多可町岩座神の棚田は、鎌倉時代に起源があるとされ、現在は農林水産省から「日本の棚田百選」に選定されています。
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棚田は山肌にあるので、陽射しを受けられる時間は長くありません。町内の平野にある田んぼに比べ、7割前後の収穫量という説も。景観は美しかろうと、米作りに適しているわけではないんですね。「見事な景観」と「収穫量」を勝手に結び付けていました。
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そんな岩座神の棚田を見て回っていると、あることに気づいたんです。
あれ? 稲穂が……?
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写真まんなか辺りのくぼみ、わかりますか? こんな感じで、田んぼのところどころの稲穂が倒れていたんです。
鹿が暴れたのか、猪が倒れ込んだのか……台風は来ていないし、風だとしたら全体を倒すもんじゃないか……と農家さんに疑問をぶつけると「風じゃないですよ、獣のしわざでもない(笑)あれは、穂が大きくなるから」と教えてくれました。
「“実るほど首を垂れる稲穂かな”っていうでしょう? 稲穂が膨らんで重たくなって、いまぐらいの時期になると倒れる稲も出てきます。稲刈りがすこし大変になるくらいで、倒れたってどうってことはない。ただ、収穫のずいぶん前に倒れると腐る危険性が高まります」
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稲は暑すぎると殻を厚くし、米を小さくさせるそうです。日照時間が短ければ生育が遅れるでしょうし、育てば育ったで早く倒れる危険性もあって……農家さんの気苦労は計り知れません。
多可町のなかでも味の良さでしられる「棚田米」は、こうした厳しい状況にも負けずに棚田を整備し、稲を育てる農家さんによって作られているんですね。
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あんなに幅の狭い棚田にもコンバインが。
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逆風に負けず
岩座神の住民が町外の方と手を取り合った「棚田オーナー制度」は昨年、23年間の歴史にいったん休止。最盛期は500人を集めた名物イベント「棚田カフェ」も昨年、今年とコロナ禍で中止になりました。
棚田の数は344枚(11.8ha)と記録されるものの、耕作されない田んぼも増え、現在の米農家は9軒だそうです。
長年、岩座神の振興に携わった方も「年齢とともにやれることが限られる。まだまだ、やろうと思えばいろんなことができるだけに、歯がゆいですね」と話します。
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岩座神の景観の中でお茶をいただきながら、地域の方に集落や米作りの歴史を伺う。帰りはお土産を買って大事な人に届ける ――
岩座神の「棚田カフェ」、贅沢な体験ですよね。来年こそ遊びに行きたいです。
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そうそう、多可町の小学生のなかに、「もみ殻」が稲の穂を守る皮だと知らない生徒がいると聞きました。棚田を案内し、実際に触らせると「これって米の皮やったんや!」と驚くそうです。
この記事を読んでくださった方、小学生だった頃……もみ殻は稲穂の皮だと知っていたでしょうか? ぼくはどうだったかなあ。
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秋トンボは足音や気配に敏感。
これも岩座神で学びました。