兼業農家が挑む米づくり ~シリーズ「多可町の山田錦」

金高さん(多可町加美区)

獣害 ~イノシシとの闘い

私は勤めながら、仕事のあとの時間と休日を使って米作りをしています。

田んぼは2町6反。1町2反はコシヒカリで、1町3反が山田錦です。

田んぼがある加美区の豊部集落は、わりと標高が高いので寒暖差が大きく、土は砂系です。水は千ヶ峰と三谷の井戸水から来ていて、気候、水質ともに恵まれていると思います。

今年(2023年)の夏は異様に熱く、初秋はカメムシ被害がありましたよね。特にコシヒカリは酷くて、集落によっては「全滅だった」と聞きます。被害に遭われた農家さん、どれだけがっかりされたことでしょうね……

うちのコシヒカリは無事に出荷できましたが……夜、見回りに来るといるんですよ、イノシシ。それも親子で来てます。

イノシシはミミズが好物で、土を掘り返して、食べるんですよね。田んぼがめちゃめちゃになってしまう。獣害です。

見に行って、イノシシにこちらの気配を感じさせてもダメ。爆竹やロケット花火で脅してもダメ。どうしたらいいのか……と困っていたんですが、テープを張り巡らす対策を知りました。

これは効果があったんです。物理的に侵入を防ぐわけではなく、「ブーン」って音がいいみたいで。風に煽られ、テープが鳴るんです。この音をイノシシが嫌がり、獣害がずいぶん減りました。

「ここにしかない米」づくり

私は、一緒に米作りをする仲間のお父さんから、田んぼのことや農法を教わりました。その方が減農薬に挑まれていたので、私も一発肥料など化学肥料は使わず、うるち米や酒米を栽培しています。肥料は米ぬかですね。

土づくりにはワラを使います。ワラにラクトバチルスという乳酸菌を混ぜると腐植し、土に鋤き込むことで醗酵分解が起こります。これによりワラの浮きが減り、ガスの発生も抑えられるんです。よい米の土壌が出来てきます。

米作りで大事にしているのは、「ここしにかない米をつくる」こと。仲間と情報共有をしながら、いい米づくりができればと思っています。

念願の村米制度 ~秀鳳酒造場とのつながり

多可町は山田錦の発祥地ということで、いくつもの集落が村米制度※を結んでますよね。豊部集落はようやく今年、山形県の秀鳳酒造場(有限会社秀鳳酒造場)さんと提携できることになりました。

※村米制度:播磨地方の酒米産地と特定の蔵元との間で結ばれる酒米取引制度のこと。契約栽培の一種。

酒蔵を訪ねたところ、秀鳳さんは家族経営的な雰囲気で、あたたかく迎えてくれたんです。また、「溶けやすくて、お酒になりやすい酒米がいい」など、酒米の質へのリクエストもいただきました。

もうひとつ感激したのは、私たちが納めた山田錦が積まれていたこと。あの景色を見たとき、

「あぁ……本当に使ってくれてるんだ、栽培してよかった」と、「もっと頑張ろう」と思いました。

晩酌はすっかり、秀鳳さんのお酒です(笑)

家族ワンチームの米づくり

私は兼業農家なので、田植えのシーズンになると、仕事を終えてから一休みして、20時~21時で水を出し、23時ぐらいに水を止め、また朝早く見に行って ―― という生活です。

専業農家のようには田んぼに居られませんし、時間も使えない。家族の協力が不可欠です。

幸いなことに、母が水を止めに行ってくれたり、娘が「何か手伝いたい」と声をかけてくれたり、助けられています。

子どもたちは中学生、高校生、二十代手前と年頃なのに農業に関心を持っていて、コンバインを買うときも意見をくれるんです。家族行事みたいな感じで田植えや稲刈りができています。

今後も家族みんなで盛り上げながら、秀鳳酒造場さんや個人契約してくださるお客さまに喜ばれる、「ここにしかない」米づくりを続けたい。

田んぼはいずれ、4町ぐらいまで広げられたらと思っています。

多可町日本酒フェスタ2023

と き 令和6年2月23日(金・祝)午前10時~午後3時
ところ 多可町文化会館(ベルディーホール)
    屋内(大ホール・ロビー)、屋外(噴水広場等)

多可町ゆかりの酒蔵16蔵のお酒を飲み比べできます!
お酒を飲まない方も楽しめる企画あります♪

★お楽しみ抽選会 
 ご来場者全員参加できる
 (アンケートに答えるだけ!)
 アラジンのトースターなど豪華賞品当たります♪

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